ついである記・36
北京―国境なき医師団の活動を見る
山室 隆夫
1,2
1京都大学
2国際整形災害外科学会
pp.890-891
発行日 1999年7月25日
Published Date 1999/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902758
- 有料閲覧
- 文献概要
1月の北京はジーンと骨にまで滲み込むように寒さが厳しい.その上,黄砂が原因なのか霧が原因なのかよく判らないが,太陽が出ているにも拘らず日中でも薄暗く,200m先は視界が全く効かないような天候が続く.北京市内では幹線道路に沿って両脇に広大なグリーン・ゾーンが造られ多くの植林がなされているが,その木々の殆んどが落葉樹なので冬期にはすっかり葉を落としてしまって,まるで灰色の枯れ木が延々と林立しているように見える.実に寒々とした景色である.
そのように天候も風景も暗く蔭鬱な北京で,1999年1月末に「国境なき医師団(Medecins Sans Frontieres)」はカシン・ベック病(Kashin-Beck disease)に関する国際シンポジウムを開催した.私は「国境なき医師団」から依頼を受け,本症について日本人のなした研究をシンポジウムにおいて紹介するべく北京へ飛んだ.シンポジウムへの参加者は中国人と西欧諸国の人が多く,日本からの出席者は私一人であった.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.