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書評 慢性痛のサイエンス—脳からみた痛みの機序と治療戦略
高橋 和久
1
1千葉大学・整形外科学
pp.262
発行日 2018年3月25日
Published Date 2018/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201044
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半場道子先生のご講演は何度か拝聴したことがある.痛みに関する脳科学,神経科学についての最新のお話しで,大変興味深くお聞きした.しかしながら,あまり馴染みのない脳の解剖用語や限られた講演時間のなかで,先生が話されたことをすべて理解できたとはいえなかった.一度,先生の知識と考え方をまとまった形で伺いたいと願っていたところ,書籍執筆のお話しをお聞きし,上梓されたら是非拝読したいと申し上げた.本書を拝受後,3日ほどで読ませていただいた.
本書は,慢性痛を侵害受容性,神経障害性,非器質性に分け,そのメカニズムについて脳科学,神経科学の観点から最新の知見を紹介している.近年の機能的脳画像法や基礎医学的な研究成果をもとに,脳を中心とする神経系のダイナミックな機能を解説している.さらに,解明されたメカニズムをもとに慢性痛に対する各種の治療法と,その科学的根拠について述べている.それぞれ興味深い内容であるが,なかでも「骨格筋は分泌器官であり,筋活動は慢性痛の軽減に有効である.また,筋活動により多くの疾患の原因となる慢性炎症を抑制でき,疾患の予防につながる」という事実は大変興味深く,日常診療でも患者さんの指導に役立てたい知識である.
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