連載 慢性疼痛の治療戦略 治療法確立を目指して・12
—ガイドラインを考慮した治療—変形性膝関節症
廣瀬 隼
1
,
水田 博志
1
Jun HIROSE
1
,
Hiroshi MIZUTA
1
1熊本大学医学部附属病院整形外科
pp.794-799
発行日 2017年8月25日
Published Date 2017/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200889
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はじめに
変形性関節症(osteoarthritis:OA)は整形外科領域で最も頻度の高い疾患であり,なかでも膝関節におけるわが国の有病率は2,530万人1)と推定されている.膝OAはロコモティブシンドロームの代表疾患の1つであり,進行すれば歩行などの日常生活動作に支障を来す.OAの病態は関節軟骨の摩耗変性を主体とし,それに続発する軟骨と骨の破壊および増殖性変化を来す,関節軟骨と関節構成体の退行変性を基盤とした慢性疾患である.現時点で根治療法はなく,進行予防や症状改善のために,患者教育,運動,減量,および薬物療法が主に行われ,病状が進行したものに対しては外科的療法が実施される.各種治療について,近年はエビデンスに基づき作成された膝OAの診療ガイドラインが複数の国際的な学会や機構から公表されている(表1).本稿ではそれらのガイドラインを踏まえた薬物療法について概説する.
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