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「専門医」とは,日本専門医制評価・認定機構(以下,専認構)によると,“加盟している各学会と協調し5年間以上の専門研修を受け,資格審査ならびに専門医試験に合格して学会などによって認定された医師”と示されております.そしてこの専門医を認定する目的は,“社会に信頼される専門医制度の確立,専門医の育成・認定およびその生涯教育などを行うことを通じて,医療の質の向上を目指すこと”です.専認構では,整形外科を含めた基本領域18の専門医制度とsubspecialty領域として17専門医制度を承認しています.現在のところ,整形外科分野ではsubspecialtyとしてはリウマチ医が承認されていますが,今後は脊椎脊髄外科や手外科などが認定されていくものと思われます.患者側からみればその道のexpertに診てもらいたいと願うのは当然のことですし,われわれにとっても自分の知識や技術を公正な第三者機関に認定されることは意義あることだと思います.
このような社会的風潮のためなのか,最近は早い時期から専門医を目指す,もしくは自分の専門を決めてしまう若手医師が多くなってきたような気がします.専門医のよい面はもちろんありますが,自分の専門しかみない,例えば“手しか診ない”,“膝しか知らない”,“外傷はやらない”……といった整形外科医が増えたような気がします.Expertというよりは,早くから自分の守備範囲を狭めている,もっと悪く考えれば認定医に満足し,やりたいことだけやって楽をしているようにも見えます.以前,私はある脊椎脊髄外科医に「なぜこの患者の腰椎を固定するのか?」と質問したことがありました.その脊椎脊髄認定医は「君ら専門外にはこのmicro? instabilityはわからないのだよ……」と答えたのみで,納得のいくディスカッションには発展しませんでした.もちろんこれは極端な例かもしれません.しかし,他人の意見に耳を貸さなくなることは往々にしてあります.
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