整形外科/知ってるつもり
低分子量へパリンとXa因子阻害剤
藤田 悟
1
1宝塚第一病院整形外科
pp.382-384
発行日 2009年4月25日
Published Date 2009/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101493
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■はじめに
日本では長い間,静脈血栓塞栓症(VTE)の薬物予防には未分画へパリンとワルファリンしか使用できなかったが,2007年以降,活性化凝固第X因子(Xa)阻害剤であるフォンダパリヌクスと低分子量へパリンであるエノキサパリンが相次いで発売された.これらの新しい抗凝固薬は,従来の薬剤より有効性が高く,未分画へパリンより安全性が高く,ワルファリンのようなINRモニタリングの必要がないなどの特徴をもつ.日本国内で行われた下肢人工関節置換術患者を対象にした臨床試験1,2)において,これらの薬剤はプラセボのVTEリスクを50~75%減少させる効果が認められたが,同時に大出血も2~3%に発生した.これらの薬剤が発売されてから,人工股関節全置換術(THA),人工膝関節全置換術(TKA),および股関節骨折手術(HFS)術後のVTE予防は,弾性ストッキングや間欠的空気圧迫法などの理学的予防法から抗凝固療法へ変わってきた.こうした中,抗凝固療法の合併症である出血での死亡例も報告されている5).本稿では,これらの薬剤の特性と適正な使用方法を解説する.
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