整形外科philosophy
ライフワークとしての変形性関節症の研究―特に膝関節症の治療(後編)
腰野 富久
1
1横浜市立大学
pp.1177-1191
発行日 2007年12月25日
Published Date 2007/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101181
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■留学中の出来事■
1.クリーブランド市
聖ロカ病院で整形外科のレジデントに従事していた1966年のことである.車(ビュイック・スペシャル)を買って週末は近郊へよくドライブに出掛けたのであるが,ある日高速道路でスピードを出しすぎた.後にパトカーがついて来るのに気がつかなかった.停車を指示され,車を下りて外に出ると警官にくどくどお説教された.交通法規のことを長々と述べていたのであるが,私は気が動転していて,話していることのほとんどが聞き取れなかった.罰金を取られるのではないかと気が気でならなかった.しかし最後に「貴方はアメリカの交通法規に不慣れのようだから今回は罰金は科さない」と言ってくれた(心の中で,しめたと思った).私はすかさず「その最後に言ったことはよくわかった」と答えた.警官はきょとんとした顔をしていた.実際には「最後に言われたことだけしかわからなかった」のであった.要するに金は払わなくてよいのだ.このことを病院の同僚に話すと,どうも笑い話の種になったらしく,いろいろな人に「お前は幸せな人だ,自分に都合のよいことだけがよくわかり,都合の悪いことはわからないとシャットアウトできる」と笑われた.このことはクリーブランドの連中が,次に行くニューヨークの連中にも話したらしく,ニューヨークでも話題にされた.しかしニューヨークにいた頃には,すでにアメリカにも慣れて,英語も全く自由になっていた.
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