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シンポジウム 手指の関節外骨折
緒言
Preface
荻野 利彦
1
Toshihiko OGINO
1
1山形大学医学部運動機能再建・回復学分野
pp.624-625
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100439
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手指の骨折は比較的頻度の高い骨折であり,幅広い年齢に発生する.若年者ではスポーツ外傷,幼児や高齢者では転倒によることが多いが,機械の使用による労働災害などでも起こる.これらの骨折は部位により骨幹部骨折,関節周囲骨折,関節内骨折に分けられる.本誌上シンポジウムでは日常診療でしばしば治療する機会のある指節骨と中手骨の骨幹部骨折と関節周囲骨折を関節外骨折として取り上げた.
手指の関節外骨折の診断に際しては,短縮変形,角状変形(屈曲・伸展変形と側方偏位),回旋変形を適切に評価する必要がある.実際の診断に際しては,側方偏位の有無は指伸展位で損傷指と隣接指あるいは反対側の指を比べる.また,回旋変形の判定では,指屈曲位で爪甲の並びを損傷指と隣接指で比較する.その際,通常では指屈曲位で爪甲は平行になるが,示指と小指では正常でもわずかな回旋や偏位があるので注意を要する.いったん,変形がないことを確かめても外固定中に変形が出現する場合もあり,特に保存療法では治療中継続した変形の観察が必要である.
X線像の読影に際しては,正しい正面,側面像を撮影することが大切である.基節骨の基部より近位の骨折では指が重なるため正確な側面像の撮影は困難であり,これを補うための斜位像も必要である.また,X線所見のみでは骨折を見落とす可能性があるので,疼痛を訴える部位,圧痛のある部位などの臨床像を加えて総合的に診断することが大切である.
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