具体的事例から考える 外科手術に関するリスクアセスメント・1【新連載】
異物遺残をどう防ぐか
石川 雅彦
1
Masahiko ISHIKAWA
1
1公益社団法人地域医療振興協会 地域医療安全推進センター
pp.476-480
発行日 2015年4月20日
Published Date 2015/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210716
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
連載にあたって
医療安全推進にかかわるさまざまな施策の実施から10年以上が経過し,一定の成果が認められる状況となっているが,外科臨床におけるリスクマネジメントの重要性はますます増している.
このような現状を鑑み,本連載では,外科手術にかかわるさまざまなインシデント・アクシデント事例について,日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業における公開データ検索1)から抽出した事例などを参考に,安全で良質な手術医療を提供するポイントとして,毎回,術前・術中・術後に折に触れて活用可能なチェックリストを提案する.なお,本連載では患者に影響の及ばなかった事例,もしくはタイムリーな介入により事故に至らなかった事例や状況をインシデント,患者に何らかの影響が及んだ事例をアクシデントと記載するが,日本医療機能評価機構のデータを紹介する際には,前者をヒヤリ・ハット,後者を医療事故と記載する.
第1回は,「異物遺残」をテーマとした.多くの場合,再手術による摘出が実施され,患者への麻酔・手術侵襲などによる精神的・身体的な影響,および外科医の負担や,発生後の患者・家族対応とメディア対応を含めた社会的信頼への配慮など,再発・未然防止はきわめて重要な課題である2).
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.