画像診断 What's sign?
"foot-ball" sign
佐藤 豊
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1聖マリアンナ医科大学放射線科
pp.101
発行日 1983年1月20日
Published Date 1983/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208222
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腸管穿孔に際してみられる腹腔内遊離ガスは急性腹症の腹部単純像の読影に際して,まず第一にチェックを要する項目の一つである.典型的な症例では立位正面像で横隔膜下,側臥位正面像では挙上された側の側腹部に沿つて三ケ月状(meniscus shaped)の遊離ガス透亮像を認める.背臥位正面像における遊離ガスの所見は上記の水平X線束(horizontal beam)による撮影の所見に比べて一目瞭然というわけではない.背臥位の場合,遊離ガスは腹腔内の最上部である臍周囲の腹腔中央部に集まる傾向がある.この時,肝の鎌状靱帯がその両側を遊離ガスで挾れることにより肝上部の脊柱のやや右側を縦走する線状陰影として認められることがあり,腹部中央の透亮像と併せて"foot-ball"signと称される.
すなわち,両腰部が外側に膨隆し中央に腹腔内ガスの透亮像を持つ腹部をアメリカンフットボールのボールに,肝鎌状靱帯をそのseamに,肋骨をlacingに例えているのである.
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