わが教室自慢の手術器具・17
シーベル・フリック型固定摂子
辻 泰邦
1
,
三浦 敏夫
1
,
石川 喜久
1
1長崎大学医学部第1外科
pp.794-795
発行日 1981年5月20日
Published Date 1981/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207711
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近年,各領域において各種の器械・器具が考案され使用されているが,外科手術の基本手技は,組織の剥離,鉗子把持,切離,結紮または剥離,結紮,切離の繰り返し操作に基づいており,如何に簡略に手数少なくするかで手術の優劣が決まるといえる.最近普及してきた消化性潰瘍に対する迷走神経切離術は,これら基本手技のみで完了できるものの1つであるが,教室で選近迷切術の際に愛用している固定摂子を紹介する(図1).この摂子は,シーベル・フリック氏摂子を改良したもので,元来兎唇手術に把持した位置での固定を目的として用いられたものであるが,われわれは,摂子先端の間隔を1〜1.5cmの状態で固定できるように作製した.迷切においても,特別な器具を必要とするものではないが,ここに示す摂子は小彎前葉のHis角に至る剥離操作に際して,摂子の自然開大のばねを利用してトンネリングし(図1上,図2),次いで固定子を先端方向ヘスライドさせ固定した状態で,fundic branchの結紮,切離(電気メス,剥離鉗子操作)を容易にし,切断後の摂子のばねの開大による組織,血管の損傷が防止できる利点をもつ(図1上,図3,4).
現在,長さ20,23cmの2種を試作し使用しており,摂子先端幅は固定位でそれぞれ0.9,1.3cmで,開大時間隔(剥離範囲)はおおよそ3.5cmである.
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