Japanese
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症例
Neuroleptanesthesiaを用いた低体温麻酔の1例—下空大静脈走行異常と動静脈瘻を合併した腹部大動脈瘤の症例について
A case of moderate hypothermia through neuroleptanesthesia:For the operation of iliac aneurysm communicated to iliac vein
北村 征治
1
,
乾 育功
1
,
戸崎 洋子
1
,
天方 義邦
1
Seiji KITAMURA
1
1大阪大学医学部麻酔科
pp.1167-1171
発行日 1973年8月20日
Published Date 1973/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205869
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はじめに
最近著者らは左総腸骨動脈と右総腸骨静脈の間に短絡性の瘻孔を有する大動脈瘤の根治術に際し,neurolep-tanesthesiaによる低体温麻酔を行なう機会を得た.
Zajtchukら1)の自験例を含めた報告によれば,大動脈瘤の下空大静脈への自然破裂をみた珍しい記録が1831年の昔にSymeによつて行なわれているとのことである.その後に同様の症例報告が散見され,外科的治療を加えられたものは1938〜1966年の間に46例あり,Zajtchuk自身の報告を加えても1971年までの33年間には47例にすぎない.腹部大動脈瘤に動静脈瘻が合併すると動脈瘤より末梢側における組織の腫大がおこり,これがかなり急速に増大する.これは中心静脈圧(以下CVPと略す)の上昇をきたして動脈瘤より末梢側に起こる静脈血の帰流障害が発生するためであると考えられる.したがつてこの手術に際して興味ある点は,長時間の血流遮断後にdeclumping shockが発生する可能性があること,さらには瘻孔閉鎖術後に循環動態および体液量の変化をきたすことが予想されることである.実際には本症例は思いがけない術後合併症の多くを併発しながら経過したが,麻酔も手術も成功を得た.ここに著者らの考察を加えて報告したい.
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