海外だより
The Society for Vascular SUrgery—その途路見学した病院と学会〈2〉
新井 達太
1
1東京女子医大心研
pp.1602-1604
発行日 1967年11月20日
Published Date 1967/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204460
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University of Minesota Hospital
暑いHoustonからプロペラ機でMineapolisに着きました.思いがけなく,Lillehei教授の下で研究しているDr.田中(慶大赤倉外科)の出迎えをうけました.Mineapolisは東京の1ヵ月遅れくらいの気候で,Hous-tonから来た私には若葉の緑が印象的でした.モーテルから緑のアーチの道を大学病院まで歩くのはひとつの楽しみでした.
僧帽弁狭窄の手術はtransventricleのdilatorを用いています.次に見ましたのは,左冠動脈のsclerosisに対してのrevascularisationとして,Vinbergの方法とOmentopexyを併用する方法でした.この方法は従来行なわれているものでした.次に見た,梅毒に起因する大動脈閉鎖不全を伴う上行大動脈の動脈瘤の手術は興味がありました.人工心肺で直腸温30℃にしてから,大動脈の血液を遮断し,大動脈瘤にT字状の切開を加えます.まず,大動脈弁を切除して,Starr Edwardsの8Aの人工弁の置換を行ないました.糸はテフデックの両端針を用いますが,U字に糸をかけ,人工弁の縫合部のうちにスパゲッティがあたるようにします.この糸を,人工弁のHolderの中央につけた刀のつばのようなものに通して,糸の混乱を防ぎます.糸を結ぶ時には,このつばの上で針の部分を切つて,抜いてから結びます.
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