Japanese
English
特集 小児外科
小児外科における輸液
Blood transfusion and fluid infusion of the infant
石田 正統
1
,
斎藤 純夫
1
,
沢口 重徳
1
,
佐藤 富良
1
,
中条 俊夫
1
,
塙 正男
1
,
堀 隆
1
Masanobu ISHIDA
1
1東京大学医学部木本外科教室
pp.1055-1062
発行日 1964年8月20日
Published Date 1964/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203396
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はじめに
輸液療法は小児外科領域においてきわめて重要な役割を演じており,その適否が治療成績に重大な影響をおよぼすことは広く認められているところであるが,輸液にたいする偏見は現在でもなお少くないようである.その第1は、小児ことに乳幼児の輸液は非常にむずかしいものであると考えこれを敬遠する人のいることである.輸液の基礎となつている体液の代謝生理にかんして,近年驚くべき多くの知見が集積されている上にその理論がしばしば複雑かつ難解であつて,多忙な臨床家がこれを要約理解するのは容易でないこと,Flame-photometerなどの大なき器械設備なくしては正しい治療の実施は不可能であるという先入観念にとらわれていることなどのためにこのような考えになるものと思われる.第2はこれと反対に,輸液はあまり神経質に考えなくても結構大過なくやつていけるものであるという人のいることである.これらの人がこのような考え方になるのは,小児手術症例の大多数においては手術危険度SurgicalRiskが比較的低い上に手術侵襲が大きくないために,輸液が適切でない場合でも生体のそなえている代謝調節機能の限界をこえることがまれであり代謝の擾乱をまぬがれ,外見上順調な回復経過を示すからである.
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