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日本整形外科學會に出席して
水町 四郞
1
1東京大學
pp.205-207
発行日 1948年5月20日
Published Date 1948/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200330
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第21囘日本整形外科學會は4月26日より3日間東京慈恵會醫科大學中央講堂に於て開催せられた。昨年の大會に於ては會期は2日間を豫定してゐたのであるが,申込演題が百題にも達したので,戰前と同様に會期を3日間に變更されたのである。しかも1題の割當ては8分間となつてゐた。どうも8分間では聞きたいことも,’抄略される危惧がないでもない。少くとも優秀なものには10分間は與へたい様な氣がする。この點は學會としては一應考慮すべきことであつて,外科學會に於て時間を二つに大別してある方が,一歩進んでゐる様に思はれる。評議員會でもこの點が取りあげられて,來年からは各教室で重要度に應じて主任者が番號をつけて申し込み,演題整理に一歩を進めて來てゐる。演説を聞いて見ると,演者に對しては甚だ失禮な申し分であはあるが,學會で報告されないで,或は集談會で發表される方が適當ではないかと思ほれるものも2,3認められた。これは集談會を程度の低いものとするものでもなく,症例報告は不適と云ふものでもないが,極く稀有な症例でない限りは,總會の演説としては遠慮してほしい氣がする。しかしこたは勿論私一人の私見にすぎないが。
3日間の演題を通觀して,最近如何な問題が研究の焦點になつてゐるかと言ふと,骨・關節結核の問題が第一に取り學げ得ると思はれる。即ち第3日の午前中は主として,この骨・關節結核に集注された。慈恵會醫大の骨關節結核混合感染の治療に關する研究は實に廣範圍に渉つて居て,種々な觀點から述べられたが,來年度の宿題に採擇されたので,來年は是非その綜合報告によつて,我々を啓發してほしいものである。
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