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海外文献抄録—脳外科患者における皮質ホルモン大量療法の合併症・予見的研究,他
大友 英一
pp.802-803
発行日 1977年7月1日
Published Date 1977/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204105
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121例の無選択的脳外科患者に対する皮質ホルモン大量療法の合併症を検討した。但し胃腸の潰瘍の既往歴のある例は除外した。97例は脳内病変,24例は脊椎疾患(内14例は硬膜外への転移性病変)である。初回投与量は36例で,Dexamethasone 16 mg,43例で40 mg,42例で80mgで制酸剤を併用した。3例に重篤な副作用があり(2.4%),内1例(0.8%)は十二指腸穿孔で死亡し,他は胃出血1例およびcandidaによる食道炎1例であつた。軽度の合併症は5例(4%)にみられ,いずれも高血糖であつた。この中3例はinsulin治療を必要とし,他の2例はステロイド中止と共に消失した。19例では悪性の脳腫瘍の治療の目的で1日40 mg又はこれ以上の量を長期(平均206±56日)にわたり投与したが合併症は認められなかつた。ステロイド療法を30日以上続けた例は121例中95例であつたが,合併症はこの群にのみに認められた。
ステロイド投与量と合併症の発現とは相関はなく,上述の3例の重篤な合併症例の一日ステロイド投与量は40mgを越えてはいなかつた。
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