書評
—Thomas H. Milhorat,M.D. 著—Hydrocephalus and the cerebrospinal fluid
坪川 孝志
1
1日大脳神経外科
pp.1370
発行日 1973年10月1日
Published Date 1973/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203400
- 有料閲覧
- 文献概要
水頭症の発生機構ならびに,その病態について最近J. Neurosurgery誌をにぎわせたMilhorat博士が,「水頭症と髄液」と題して,髄液の生理,水頭症の病理と病態生理,診断と治療法について,1970年までの主要論文をたくみに引用しながら,その歴史的推移と,現況を簡潔に要約し,今後の問題点を明確にしたのが,この書のすべてである。
内容は髄液の産生と吸収機構よりはじまるが,髄液産生には脈絡叢外髄液産生を重視し,また分泌は単なる濾過によるものでなくて,能動輸送の関与を強調し,一方吸収機構もくも膜顆粒を介する吸収以外に,補助的な吸収経路として,経軟膜,経脳室上衣細胞よりの吸収に注目し,とくに病的状態ではむしろこの補助的吸収路の変化が大きな役割を果していることなどをMilhorat博士自身の研究成果をも含めて紹介されており,今後検索の必要な点がうきぼりにされている。
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.