Japanese
English
総説
特発性正常圧水頭症の診断と治療
Diagnosis and Treatment of Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus
石川 正恒
1
Masatsune Ishikawa
1
1北野病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Kitano Hospital
キーワード:
hydrocephalus
,
gait disturbance
,
dementia
,
the elderly
Keyword:
hydrocephalus
,
gait disturbance
,
dementia
,
the elderly
pp.653-659
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100520
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
近年,わが国は急速な勢いで超高齢社会に向かっており,高齢者介護の問題は重要な社会的テーマとなっている。このような状況にあって,中高齢者に多くみられ,歩行障害や痴呆・尿失禁を有し,髄液短絡術により症状の改善が得られる特発性正常圧水頭症(idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus:iNPH)は高齢者の介護軽減の観点から重要な意義を有していると考えられる。しかし,過去に,“treatable dementia”として喧伝され,慢性硬膜下血腫などの合併症により結果的には症状の悪化をきたした例が多かったため,神経内科や脳神経外科の領域であまり注目をされなくなったという経緯がある。最近ではシャント術の効果を術前に予測する補助検査法の評価やシャント・バルブの改良により,短期のみならず長期の追跡でも良好な結果が得られるとの報告もみられるようになってきている。iNPHの診療ガイドラインは現在作成中で,多くの方々の意見をきいた上で,最終的に発表することになるが,本稿では現在,進行中の診療ガイドラインの基礎となる考え方を紹介することとする。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.