Japanese
English
脳・脊髄のMRI画像アトラス
両側難聴で発症したクリプトコッカス髄膜炎の1例
A Case of Cryptococcal Meningitis Presenting Initially as Bilateral Hearing Loss
三好 輝
1
,
長谷川 隆文
1
,
田郷 英昭
1
,
中島 一郎
1
,
志賀 裕正
1
,
菊地 俊彦
2
,
日向野 修一
3
,
糸山 泰人
1
1東北大学医学部神経内科
2東北大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科
3東北大学医学部放射線診断科
pp.896-897
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100354
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
症 例 57歳,男性
既往歴・家族歴 17歳時,副鼻腔炎にて両側上顎洞根本手術を施行された。
現病歴・経過 2004年5月初旬より両耳の難聴,頭重感が出現した。以後,回転性めまいも加わり症状は徐々に増悪し,3週間後には全く聞こえない状態となった。同年6月11日当科を受診。意識は清明,体温36.4℃,一般身体所見に異常はなく,神経学的にも両耳の聴覚消失以外に異常は認めなかった。血算・生化学検査では炎症所見,免疫機能の低下を含め異常はみられなかった。入院後実施した頭部・内耳MRIで両側内耳道(図A・B;白塗三角),蝸牛軸・蝸牛の基底回転(図C・D;*),顔面神経管迷路部(図A・B;矢印)~膝神経節(図A・B;白枠三角)に造影病変を認め,さらに第4脳室壁にも異常造影効果がみられた。髄液検査では細胞数増多(118/μl;単核83%,多核17%),蛋白高値(233mg/dl),糖減少(15mg/dl,同時血糖88mg/dl)があり,墨汁染色は陰性であったが髄液クリプトコッカス抗原価の上昇(128倍)が確認された。髄液培養検査ではクリプトコッカスと思われる酵母様真菌のみ陽性であった。以上からクリプトコッカス髄膜炎と診断し,7月6日よりfosfluconazole静注(800mg/日)にて治療開始した。以後,聴力は徐々に回復,投与開始3週間後には単語レベルでの聞き取りも可能となり,オージオグラム,髄液所見にも改善が認められた。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.