巻頭言
脳の世紀と精神医学への期待
加藤 進昌
1
1滋賀医科大学精神医学教室
pp.1250-1251
発行日 1997年12月15日
Published Date 1997/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405905095
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大学医学部・病院の機構改革と再編,研究活性化・民間活力の導入,外部評価による客観的な研究評価の試みなど,社会全般での規制緩和,特に「官」のスリム化という大きな流れに沿った改革の動きが急である。科学技術基本計画は「柔軟かつ競争的な研究環境」を掲げ,1997年の科学技術白書は「開かれた研究社会の創造」を主題として,いまや制度改革は行政各分野に共通する大前提になっている。小さな単科大学にすぎない滋賀医科大学でも,講座制をどうするか,任期的定員をどう考えるか,カリキュラム改革,診療科の再編などなど,枚挙にいとまがない課題が次々に取り上げられ,活発な議論が起こっている。こういう時にたまたま大学にいる巡り合わせになったのはいったい喜ぶべきか嘆くべきかよくわからないが,とにかくゆっくり考えている暇もなく走り回っているのが実情である。しかし,若手の講師や助手層を対象とした討論会にはかなりの出席者があるし,そこでの議論も活発である。自分では若いつもりでも,どちらかというと突き上げられる立場になった身からみると頼もしく,次世紀に向けての展望も見えてくる気がして,とりあえずは活性化の滑り出しはまあまあかなとうれしく思っている。
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