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2002年4月,信州大学医学部附属病院に「子どものこころ診療部」が特別中央診療部門として新たに開設された。精神科を中心とする児童思春期の医療が一つの箱を得てスタートできるのはまさに悲願であった。この開設認可の背景には,文部科学省の概算要求の途上,清澤研道院長と小宮山淳医学部長,ならびに学内外問わず諸先生方などの強い支持と厚い支援があり,文部科学省との折衝では,終始にわたり大学の事務当局から暖かい応援があったことによる。さらに,この開設にあたり,定員では助教授1名,看護師1名の純増が認められ,助手1名は学内措置とするという喜ばしい内容であった。その後の病院側の動きも迅速であり,当院脳神経外科の好意により外来部門のスペースが提供され,一気に2つの診察室ができ上がった。現在は,月曜から金曜の午前,午後と,初診と再来の診療が始まっているが,すでに予約がやや先延ばしになってきた。また,遊戯療法室,診療部のカンファランス室なども造られつつあり,順調に出帆している。
このような喜ばしいできごとも,まさに時代の流れ,世相を反映していた。引きこもり,不登校,虐待,少年犯罪などとこれほどに新聞紙上を賑わせたことはなかった。大人の責任がしきりに問われてもどのように対処したらいいのか,問題意識ばかりが肥大して,これらの対応策は空回りしやすかった。社会や教育など全体からのアプローチが極めて重要であるが,せめて医療面からでもという問題意識からの要求であった。今回の開設にあたり,私たちの使命は,社会的責任の大きさに震憾しながらも,学会や各大学からの悲願であったことも強く念頭に置いて,この重みをしっかりと受け止めて,この医療の充実に向けて研鑽を積むことと自覚する。
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