Japanese
English
資料
向精神薬による急性薬物中毒症例の実態と血液検査異常
A Survey and Biochemical Abnormalities of the Blood in Patients with an Acute Intoxication by Psychotropic Drugs
西嶋 康一
1
,
石黒 健夫
1
Koichi Nishijima
1
,
Takeo Ishiguro
1
1自治医科大学精神科
1Department of Psychiatry, Jichi Medical School
pp.543-552
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904938
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
■はじめに
自殺は精神科救急医療の中で極めて重大な問題である。特に,自殺者の心理の解明,自殺の予防,自殺企図者のケアなどは,以前から諸家6,9,10)により論じられてきたが,今後も議論されなければならない重要な課題と考えられる。
一方,近年精神科外来では,通院患者が増加する傾向にあり,それに伴って,患者が自殺目的で処方された向精神薬を大量に服用し緊急入院する例が多くなっており,今後も増加することが予想される。こうした症例は,生命的危険がなければ,最初から精神科で治療しなければならない場合が多く,精神科医といえども身体管理に十分な関心を払う必要がある。
筆者は,自殺目的で向精神薬を服用した薬物中毒症例を治療する機会を少なからず持ってきたが,その際,血液検査上異常の認められるケースがかなりいることに以前より気づいていた。これまでに,急性薬物中毒時の血液検査異常についての報告はほとんどなく,このことを明らかにすることは,治療する上で参考になると思われる。そこで今回,多数例において,患者の実態と,その血液検査異常について検討を行ったので報告する。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.