Japanese
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特集 児童精神科医療の課題
情緒障害児短期治療施設における児童精神科医療の現状と課題
Residential Treatment for Emotionally Disturbed Children & Families in Clinical Welfare
杉山 信作
1
,
西田 篤
1
,
大澤 多美子
1
,
岡田 隆介
1
Shinsaku SUGIYAMA
1
,
Atsushi NISHIDA
1
,
Tamiko OHSAWA
1
,
Ryusuke OKADA
1
1広島市児童療育指導センター
1Hiroshima Comprehensive Guidance Clinic for Children
キーワード:
Total milieu therapy
,
Emotional disturbance
,
Child & adolescent psychiatry & welfare
Keyword:
Total milieu therapy
,
Emotional disturbance
,
Child & adolescent psychiatry & welfare
pp.1303-1309
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904893
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はじめに
戦後の終わりを謳った昭和30年頃に比べると,核家族は3倍に増え,それまでは5人を保っていた平均世帯人員も3人を切り,現在,合計特殊出生率は2を大きく割り込んでいる。これらを子どもの心の育ち難さの指標と見なすこともできよう。もし,児童家庭福祉50年の論点を並べるなら,今の時代が見え,今日の家庭の衰退や学校運営の困難化に親子の精神的な状況をうかがうこともできよう12,13)。その反映でもある全国の情緒障害児短期治療施設(以下「情短」と略称)を覗いてみると,その63%に不登校,40%に被虐待,22%にいじめやいじめられの関与がみられる。
近年,心のケアは通りのよい言葉になってきたが,残念ながら,児童精神科医療は保険診療の中では未だ成立は難しく,その入院の場でもある「情短」を備える都道府県もまだ1/3にとどまっている。少子・高齢化が急で,社会の成長や発展の勢いに翳りの見えはじめた今日,少ない子どもを大切に育てるこの臨床の確立は急務である。
情短の現状を紹介することで,児童精神科医療の今後を検討することになればと思う。筆者は,この論文が踏まえる広島市愛育園の開設にあたり,週末帰省・本校への常時交流・生活と治療の重合・外来の重視・ミーティングによる運営・プロジェクト型の組織づくりなどに努めてきた。いずれも施設化を避けるものであり,これらは,かつての精神医療を問い直す運動からの贈りものでもあった9)。
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