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抗精神病薬減量中に重度の嘔気,嘔吐,食欲低下および頭痛を呈した精神分裂病の1例
A Case of Schizophrenia with Severe Nausea, Vomiting, Anorexia and Headache during Antipsychotic Withdrawal
寺尾 岳
1
Takeshi TERAO
1
1産業医科大学精神医学教室
1Department of Psychiatry, University of Occupational and Environmental Health
pp.102-103
発行日 1998年1月15日
Published Date 1998/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904476
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抗精神病薬の作用部位の1つに,chemo-receptor trigger zoneがあり,抗精神病薬がこの部位のdopamine receptorを阻害することで制吐作用が生じることが知られている。さらに抗精神病薬の慢性投与により,この部位のdopamine receptorの感受性が亢進あるいはreceptorの数が増えると考えられており2),中断時には離脱症状として嘔気や嘔吐,食欲低下が生じたという報告2,3)がある。また,頭痛も抗精神病薬の離脱症状に含まれることが知られている2,3)。
今回筆者は,非定型抗精神病薬の1つであるrisperidoneへの処方変更を目的に,それまで投与されていたbromperidolなどを減量したところ,重度の嘔気,嘔吐,食欲低下および頭痛の出現した症例を経験した。本邦においては今後,従来の抗精神病薬から種々の非定型抗精神病薬への変更が予想されるため,変更の際に念頭に置くべき副作用として報告する。
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