Japanese
English
研究と報告
メラトニンを指標としたアルツハイマー病患者の生体リズムの検討
A Study on the Biological Rhythm of the Patients with Alzheimer's Disease: melatonin as a marker of circadian rhythm
岡本 典雄
1
,
内田 勝久
2
,
大橋 裕
3
,
森田 之大
2
Norio OKAMOTO
1
,
Katsuhisa UCHIDA
2
,
Yutaka OHASHI
3
,
Yukitomo MORITA
2
1共立菊川総合病院精神科
2浜松医科大学生理学第一教室
3浜松医科大学精神医学教室
1Department of Psychiatry, Kikugawa General Hospital
2Department of Physiology Ⅰ, Hamamatsu University School of Medicine
3Department of Psychiatry, Hamamatsu University School of Medicine
キーワード:
Melatonin
,
Alzheimer's disease
,
Biological rhythm
,
Delirium
,
Suprachiasmatic nuclei
Keyword:
Melatonin
,
Alzheimer's disease
,
Biological rhythm
,
Delirium
,
Suprachiasmatic nuclei
pp.277-284
発行日 1997年3月15日
Published Date 1997/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904290
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【抄録】メラトニンを内因性の生体リズムの指標としてアルツハイマー病患者の生体リズムの異常と臨床症状について検討した。対照群には全例にメラトニンリズムが認められたが,痴呆群8例中の3例ではリズムが消失していた。リズムを認めた痴呆群のメラトニンリズムは,対照群と比較して日中のメラトニンの値が有意に高かったが,最高値には差が認められなかった。メラトニンリズムのこれらの変化には,生活環境における光条件や生体時計中枢の器質的変化の影響が考えられ,睡眠障害やせん妄などの臨床症状との関連が推察された。また,メラトニンリズムが消失していた3例のうち,1例には睡眠障害,せん妄などの臨床症状が持続的に認められたが,2例には散発的に観察されただけであった。このことより,メラトニンリズムの消失がただちに臨床症状に結びつくものではなく,臨床症状の発現には同調因子の影響や痴呆の程度も重要な要因になっていると考えられた。
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