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日本の親子関係,子どもたちへのしつけ,養育の方法,家族での楽しみ,子どもたちの余暇利用の様態,学校と子どもたちの関係,学ぶことの目的と意義,これらは児童精神医学や臨床心理学とも密接に関連する事がらであるが,それが欧米諸国と日本では根本的に異なっている。日本の生活様式も欧米化し,子育てをしている年代の親の意識は欧米の親たちとあまり違いがみられないという指摘もあるが,子どもたちが家庭で,また学校で示す様々な不安,あがき,失意の様態を見ていると,その背景の社会文化的基盤に未だに大きな隔たりがあることを痛感せざるをえない。ところが,日本の児童精神医学も子どもの臨床心理学も欧米にのみ目を向け,その研究成果を吸収しようと躍起になってきた(この分野のみのことでもないが)。1929年,下田光造はその異常児論の序文で,外国の書物の翻訳物を見ても日本の子どもたちの理解には全然役立たないと断言しているが,しかし,後に続いた私たちはやはり欧米一辺倒に傾いてきた。数年前から少なくとも児童精神医学に関してはこれではいけないぞということを,アジアの精神科医に知己の多い西園昌久氏(昨年の環太平洋精神科医会議会長),国際児童青年精神医学会事務局長の山崎晃資氏らが訴え始めた。彼らは環太平洋精神科医会議やASEAN諸国にオーストラリア,ニュージーランド,台湾,香港,日本などが参加するASEAN精神医学会での発表,討論を通して,アジアの国々の児童精神科医により親和性を感じるし,学ぶものが多いという。アジアの児童青年精神科医が集まったら,どうであろうかという話が盛り上がってきた。
その提案を日本児童青年精神医学会(清水将之理事長)が全面的に支持し,第1回大会を東京で開催することが決まった。組織委員長は西園昌久氏,プログラム委員長は近畿大学の花田雅憲氏,事務局長は都立梅ケ丘病院の佐藤泰三氏がその任に当たることになった。そして1996年4月18日と19日の両日,東京の虎の門パストラルで,16の国と地域からの約400人の参加者のもと開催された。発表演題は140であった。
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