Japanese
English
研究と報告
クッシング症候群と甲状腺機能低下症を合併した症状精神病の1例
A Case of Symptomatic Psychosis Induced by Complication of Cushing's Syndrome and Hypothyroidism
松口 直成
1,2
,
井田 能成
1,2
,
中沢 洋一
1,2
Naoshige Matsuguchi
1,2
,
Yoshishige Ida
1,2
,
Yoichi Nakazawa
1,2
1久留米大学医学部精神神経科学教室
2松口病院
1Department of Neuropsychiatry, Kurume University, School of Medicine
2Matsuguchi Hospital
キーワード:
Symptomatic psychosis
,
Cushing's syndrome
,
Hypothyroidism
Keyword:
Symptomatic psychosis
,
Cushing's syndrome
,
Hypothyroidism
pp.1195-1199
発行日 1990年11月15日
Published Date 1990/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902943
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抄録 難治性うつ病あるいは精神分裂病として診断され,精神科的治療のみを受け続け,その後内分泌学的治療により精神症状の軽快をみた1例を報告した。症例は32歳の女性で,出産9カ月後にメランコリー型大うつ病と区別できない抑うつ状態で発症したが,長い間身体的変化には気づかれなかった。その後,感情の不安定性,精神運動興奮,錯乱,自殺企図,関係妄想,昏迷,発動性減退もみられた。3回目の入院中に甲状腺機能低下症,さらに副腎腺腫によるクッシング症候群の存在が発見された。甲状腺ホルモン投与および副腎腺腫摘出により,精神症状の著明な改善がみられた。一連の多彩な精神症状は内分泌精神症状群として解釈でき,両内分泌疾患がその原因と考えられた。内分泌疾患合併機序の一つの可能性として,出産後の副腎腺腫増大に伴って高コルチゾール血症が先に発現し,その下垂体に及ぼす作用により2次的に甲状腺機能低下を来たした可能性が考えられた。
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