Japanese
English
研究と報告
不安障害患者にみられる僧帽弁逸脱—正常人との比較
Prevalence of Mitral Valve Prolapse in Patients with Anxiety Disorder
越野 好文
1
,
村田 哲人
1
,
大森 晶夫
1
,
浜田 敏彦
2
,
福井 純一
2
,
伊藤 達彦
3
,
三沢 利博
4
,
伊崎 公徳
1
Yoshifumi Koshino
1
,
Tetsuhito Murata
1
,
Masao Omori
1
,
Toshihiko Hamada
2
,
Junichi Fukui
2
,
Tatsuhiko Ito
3
,
Toshihiro Misawa
4
,
Kiminori Isaki
1
1福井医科大学神経精神医学教室
2福井医科大学検査部
3福井県立精神病院
4福井医科大学第3内科
1Department of Neuropsychiatry, Fukui Medical School
2Clinical Laboratory Medicine, Fukui Medical School
3Fukui Prefectural Mental Hospital
4The 3rd Department of Internal Medicine, Fukui Medical School
キーワード:
Anxiety disorder
,
Panic disorder
,
Generalized anxiety disorder
,
Mitral valve prolapse
,
Echocardiography
Keyword:
Anxiety disorder
,
Panic disorder
,
Generalized anxiety disorder
,
Mitral valve prolapse
,
Echocardiography
pp.963-970
発行日 1990年9月15日
Published Date 1990/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902906
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抄録 不安障害の生物学的精神医学研究として,僧帽弁逸脱について検討した。対象はDSM-Ⅲによる恐慌性障害20人,全般性不安障害11人,および恐慌発作を有するが恐慌性障害の診断基準は満たさない患者5人の合計36人で,平均年齢(±SD)は40.9(±13.5)歳であった。対照群は健康成人36人で年齢は23.5(±4.1)歳で,有意に若かった。僧帽弁逸脱の有無は断層心エコーを用いて,精神科の臨床診断についてはブラインドで,判定した。患者群の17人(47.2%)に僧帽弁逸脱がみられ,対照群の5人(13.9%)より有意に高率であった。診断別では恐慌性障害が13人(65%)と対照群より高率だった。全般性不安障害でも4人(36.4%)と高率だったが有意の差はなかった。恐慌発作のみの患者では逸脱はみられなかった。逸脱の程度は軽度で,心音図でクリックが恐慌性障害に2人,対照群に3人みられた。Pulse dopplerでは両群共に有意な逆流を示す例はなかった。心エコーでの僧帽弁機能には逸脱のある群とない群で差はなかった。僧帽弁逸脱は単なる恐慌発作よりも,恐慌性障害に全般性不安障害を含めた不安障害に関連していることが示唆された。
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