書評
—日本臨床精神神経薬理学会医学教育委員会 編集 古郡規雄,稲田 健 責任編集—そこが知りたかった! 精神科薬物療法のエキスパートコンセンサス
稲垣 中
1,2
1青山学院大学教育人間科学部
2青山学院大学保健管理センター
pp.1677
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206809
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若手から教授級の重鎮まで,大学病院,総合病院精神科から単科精神科病院,精神科診療所まで,日本臨床精神神経薬理学会の専門医が総力を結集して構築されたうつ病,双極性障害,および統合失調症の薬物治療に関するコンセンサスについて解説する『そこが知りたかった! 精神科薬物療法のエキスパートコンセンサス』が発刊された。
精神科領域でもこれまでに数多くの臨床試験が行われ,さまざまなエビデンスが蓄積されてきたが,今なお明確な結論が出ていない臨床上の疑問(clinical question:CQ)は少なくない。そこで日本臨床精神神経薬理学会の教育委員会はうつ病,双極性障害,および統合失調症の薬物治療に関する61の主要なCQに関するウェブ媒体のオピニオン調査を行い,その結果に基づいて,当該状況に対して最初に試みるべき「一次選択治療」,一次医療のなかでも特に推奨される「最善の治療」,一次選択治療が副作用のために継続できなかったか,効果が不十分であった場合に用いられる「二次選択治療」,一般的には不適切であるが,よりよい選択肢が効果不十分であったか,副作用の問題で実施できなかった場合にのみ検討される「三次選択治療」などといったランキングづけをして,各治療選択肢の推奨度をわかりやすく本書に提示した。
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