特集 精神・神経疾患に併存する過眠の背景病態と治療マネジメント
特集にあたって
栗山 健一
1
1国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部
pp.1307
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206749
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
精神・神経疾患には高率に睡眠障害が併存する。過眠は不眠症状に比し,注目されることの少ない睡眠関連症状であるが,遭遇頻度は決して稀ではなく,患者の日常生活・社会機能を低下させる重要な臨床症候である。しかし,過眠の背景病態評価に関するコンセンサスが乏しく,過眠に対する治療手段が限られることから,適切な診断・治療方針を導き出すことに難渋する場合が多い。
近年,神経発達症に関連する過眠症状に注目が集まっている。しかし,同じ神経発達症診断カテゴリにある注意欠如・多動症と自閉スペクトラム症においても,疾患間で過眠の背景病態が異なり,適切な治療アプローチが異なる可能性が指摘されている。他の精神疾患においても,併存する過眠症状は原疾患の病態・治療と関連して生じることも多く,さまざまな場面において患者の日常生活・社会機能の障害要因となる。このため,精神・神経疾患に併存する過眠の診療においては,原疾患の病態特性や二次的に過眠を生じうる睡眠障害の併存特性を含めた背景疾患ごとの病態理解が必要である。
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.