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特集 成人の自閉スペクトラム症とライフステージの課題
女性の自閉スペクトラム症例とそのライフステージの課題
On the Life Stage and Psycho-social Problems Observed in Female Autism Spectrum Disorder Cases
広沢 郁子
1
Ikuko HIROSAWA
1
1メンタル神田クリニック
1Mental Kanda Clinic, Tokyo, Japan
キーワード:
Autism Spectrum Disorder
,
Female
,
Adult
,
Life stage
,
Psycho-social problem
Keyword:
Autism Spectrum Disorder
,
Female
,
Adult
,
Life stage
,
Psycho-social problem
pp.415-422
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205164
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はじめに
女性のAutism Spectrum Disorder(以下,ASD)は,かつては男性の4〜5分の1で,しかも男性よりも重篤となる傾向があり1),いわゆる高機能の成人例は稀である15)といわれていた。しかし,1990年代になると複数の疫学調査によって,自閉症7)やアスペルガー症候群3)の男女比が見直され,女性のASDもそれほど少なくないことが分かってきた(男性の2〜3分の1)。また女性のASD者の特徴として,子どもの頃はむしろ自閉症状が軽症に見えやすいこと8),一方で学童期ともなると,たとえ軽症にみえるASD女児の場合でも,集団内で不適応を起こしやすいことも指摘されるようになった8)。
成人の臨床現場では,女性のASD例に出会う機会は増加している。しかも彼女らは,男性例とはどこか異なった印象を治療者にもたらす。おそらくそれは生物学的な女性性と,社会的な女性性とが相まって作り出される印象なのであろうが,それがいかなるものなのか,具体的な記載は少ない。そこで本稿では,成人の彼女たちが各ライフステージで出会う女性ならではの発達課題に注目して,成人ASD女性の臨床特徴を綴ってみたい。
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