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特集 自殺対策の現状
心理学的剖検研究から分かってきたこと
Findings of Psychological Autopsy Study in Japan
勝又 陽太郎
1
Yotaro KATSUMATA
1
1公立大学法人新潟県立大学人間生活学部子ども学科
1Department of Child Studies, Faculty of Human Life Studies, University of Niigata Prefecture, Niigata, Japan
キーワード:
Psychological autopsy
,
Risk factor
,
Case-control study
Keyword:
Psychological autopsy
,
Risk factor
,
Case-control study
pp.507-513
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204940
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国内外における心理学的剖検研究の動向
心理学的剖検(psychological autopsy)は,自殺者と生前に関係のあった周囲の人(家族,友人,知人,同僚,主治医など)から,故人の生前の情報を,後方視的(retrospective)に聞き取るデータ収集方法の総称である。もともとは米国の著名な自殺学者であるShneidmanらが不審死の死因を明らかにすることを目的として開発した調査的アプローチであったが22),その後自殺予防研究へと応用されるようになり,現在では自殺予防対策の基礎となる自殺の実態や関連要因を分析するためのデータ収集法として広く世界的に用いられている。
心理学的剖検の手法を用いて自殺の背景要因を明らかにする研究は,1950年代後半から対照群をおかない記述的な研究デザイン(第1世代の心理学的剖検研究)で開始された16)。その後,1990年代以降は,心理学的剖検を利用した症例対照研究(case-control study)のデザインが採用されるようになり(第2世代の心理学的剖検),生存事例あるいは他の死因による死亡事例を対照群として設定し,自殺事例と同様の調査を実施して結果を比較することで,自殺の危険因子を統計的に明らかにする試みが世界各国で行われてきた16)。
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