Japanese
English
研究と報告
抗精神病薬服用中の精神分裂病者の抗利尿ホルモン分泌動態—水中毒との関連において
The Secretion of Antidiuretic Hormone in Schizophrenics on Psychotropic Medication: Its relation to water intoxication
更井 正和
1
,
東 司
1
,
松永 秀典
2
Masakazu Sarai
1
,
Tsukasa Azuma
1
,
Hidenori Matsunaga
2
1小阪病院
2大阪府立病院精神科
1Kosaka Hospital
2Department of Psychiatry, Osaka Prefectural Hospital
キーワード:
Schizophrenia
,
Neuroleptics
,
Water intoxication
,
Antidluretic hormone
Keyword:
Schizophrenia
,
Neuroleptics
,
Water intoxication
,
Antidluretic hormone
pp.741-747
発行日 1989年7月15日
Published Date 1989/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204738
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抄録 抗精神病薬服用中の精神分裂病患者における抗利尿ホルモン(ADH)の分泌動態について調べた。その結果,分裂病群の血中ADHは対照群より低く,尿浸透圧も分裂病群が低いことが判明した。また,分裂病群の血漿浸透圧-ADH分布の回帰直線の勾配は対照群より小さく,分泌閾値も低かった。これは,今までに指摘されていない異常であると考えられた。これらの結果を基に水中毒のメカニズムとして,(1)中枢性の異常によるもの,(2)末梢性の異常によるもの,(3)中枢-末梢-系の異常によるものを区別した。特に(3)については,抗精神病薬服用中の分裂病者において,尿浸透圧の血漿浸透圧の変化に対する利得(△urine osmolality/△plasma osmolality)が小さく,体液浸透圧の恒常性を維持する機能に欠陥があることを指摘した。最後に服薬していない分裂病者の水中毒についても若干の考察を加えた。
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