Japanese
English
研究と報告
精神分裂病における陽性症状と陰性症状の相関—SANSとPSE使用による症状分析
Correlations between Positive and Negative Symptoms in Schizophrenia: Analysis study on symptoms assessed with SANS and PSE
染矢 俊幸
1
,
増井 晃
2
,
入谷 修司
3
,
藤井 正也
2
,
世一 市郎
3
,
飯田 英晴
1
,
高橋 三郎
1
Toshiyuki Someya
1
,
Akira Masui
2
,
Shuji Iritani
3
,
Masaya Fujii
2
,
Ichiro Yoichi
3
,
Hideharu Iida
1
,
Saburo Takahashi
1
1滋賀医科大学
2西山病院
3豊郷病院精神科
1Department of Psychiatry, Shiga University of Medical Science
2Nishiyama Hospital
3Department of Psychiatry, Toyosato Hospital
キーワード:
Schizophrenia
,
Positive symptoms
,
Negative symptoms
,
SANS
,
Factor analysis
Keyword:
Schizophrenia
,
Positive symptoms
,
Negative symptoms
,
SANS
,
Factor analysis
pp.123-130
発行日 1989年2月15日
Published Date 1989/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204656
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抄録 慢性精神分裂病患者101名を対象とし,精神分裂病における陽性症状と陰性症状の相関について検討した。陽性症状の評価には症状群チェックリスト(SCL)から8項目を選択して用い,陰性症状の評価には陰性症状評価尺度(SANS)を用いた。その結果,(1)SANSによる陰性症状の評価はこれまでの報告に一致して十分に高い信頼性を持つことが示された。(2)陽性症状,陰性症状ともに複数のグループに分けられたが,陰性症状間の内部相関は大であった。(3)因子分析の結果,情動鈍麻,意欲低下と快感消失,思考の貧困,幻聴・自我障害,陰性症状の主観的評価,注意の障害,妄想の7つの因子が得られた。陽性症状と陰性症状には負の相関は認められず,互いに独立であった。(4)陰性症状は,病型,適応,入院期間,治療形態,過去1年の就労歴,家族支持の有無と強い相関を示し,経過に重要な意味をもつ症状であること,患者のおかれている状況を反映していることが確認された。
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