Japanese
English
研究と報告
老人の妄想の二,三の特徴について—原田論文(精神医学,1979年)の検討を中心にして
Some Characteristics of Delusions in the Elderly: With special reference to Harada's opinion
木戸 又三
1
Matazo Kido
1
1東京都養育院付属病院精神科
1Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital
キーワード:
Confabulation
,
Delirium
,
Dementia
,
the Elderly
,
Paranoid symptoms
Keyword:
Confabulation
,
Delirium
,
Dementia
,
the Elderly
,
Paranoid symptoms
pp.1261-1267
発行日 1984年12月15日
Published Date 1984/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203862
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録 老年患者の診療では,妄想は日常的にその対処を迫られる重要な課題であるが,精神病理学的な研究は非常に少ない。著者は原田論文2)を拠り所にして,老人の妄想とくに器質性妄想の臨床精神病理学的な特徴について検討した。対象は最近約10年間に著者が受け持った65歳以上の入院患者200名のうち,妄想の認められた96名である。まず原田のいう作話的傾向は,痴呆の妄想例の2/3で認められ,老人の器質性妄想の特徴として確認された。次に「共同体被害妄想」については,そのうちの盗害妄想は非痴呆例の17%に対して痴呆例の71%で認められ,これも老人の器質性妄想の特徴として確認された。これに対して家族迫害妄想は,対象全体の5%で認められたにすぎず,これを盗害妄想と一緒にして老人妄想の特徴とすることには疑問がある。その代りに著者はせん妄からの発展というかたちを,老人の妄想の特徴として付け加えることを提唱した。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.