Japanese
English
研究と報告
左利き患者にみられた右半身の多彩な身体図式障害と触覚失認の1例
Various Disorders of Body Schema for the Right Limbs and Tactile Agnosia in a Left-Handed Female
菊池 あつ子
1
,
山縣 博
1
,
細川 武
2
Atsuko Kikuchi
1
,
Hiroshi Yamagata
1
,
Takeshi Hosokawa
2
1埼玉医科大学精神科
2埼玉医科大学神経内科
1Dept. of Psychiatry, Saitama Medical School
2Dept. of Neurology, Saitama Medical School
pp.649-654
発行日 1978年6月15日
Published Date 1978/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202779
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
身体図式障害の中で,半側に限って奇異な訴えをする一群の症状があるが,その内容は様々である。Ajuriaguerra et Hecaen1)は,半側の忘却,無使用のような無意識的なもの,半側の喪失感,変形異物感,phantom体験のような意識的身体図式障害およびBabinski型の半側麻痺の否認の3者に分類した。このような症状を呈するには,心的水準の低下,人格反応の問題,運動麻痺あるいは知覚麻痺の程度などいろいろな条件が関与しているといわれている。多くは,ほとんど左半身に限られており,右半身に出現するのは稀である。このことから,従来身体図式障害の最高中枢は劣位半球,殊に右頭頂葉領域が重視されているのだが,右利きにおける右半身図式障害の症例も報告されており,この場合は,多くGerstmann症候群を合併している2)。
われわれは,左利き患者で,脳血栓後の右半身麻痺とともに,右半身の興味ある身体図式障害と触覚失認を合併した症例を経験したので,ここに報告し,皆様の御批判を仰ぎたい。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.