Japanese
English
研究と報告
Kleine-Levin症状群の1例
A Case of Kleine-Levin Syndrome
古屋 穎児
1
,
菱川 泰夫
1
,
若松 晴彦
1
,
木下 玲子
1
,
土居 剛
2
Eiji Furuya
1
,
Yasuo Hishikawa
1
,
Haruhiko Wakamatsu
1
,
Reiko Kinoshita
1
,
Tsuyoshi Doi
2
1大阪大学医学部神経科精神科
2武庫川病院
1Dept. of Psychiatry & Neurology, Osaka Univ. School of Med.
2Mukogawa Mental Hospital
pp.503-509
発行日 1973年5月15日
Published Date 1973/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202023
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傾眠,多食,不機嫌,性的逸脱行為などの症状が6日から14日間持続する症期を,13歳に発症し,計7回くり返したKleine-Levin症状群の1例(男)について,発症期と間歇期の脳波所見を検討した。
覚醒時脳波は,間歇期には10c/sであった基礎波が,発症期には8.5ないし9c/sに徐化し,背景脳波に徐波成分が混入しているのが認められた。
終夜睡眠記録は,発症期に行なった初回記録では,なかなか入眠せず,入眠してからは頻回に睡眠が中断され,深睡眠が少なかった。傾眠性の亢進を主症状とはするが,実際には慣れない条件の下では容易に眠り込まないことを示しているものと解される。
発症期に行なった第2回終夜睡眠記録と間歇期に行なった第3回終夜唾眠記録の間には,睡眠経過と睡眠深度の構成のいずれにも著しい差異はみられなかった。
これらの結果と先人の研究報告を考察し,Kleine-Levin症状群の症状発現には,逆説睡眠および徐波睡眠の発現に関わる神経機構には異常はなく,覚醒状態を維持する神経機構の一過性の障害によるものであろうと推論した。
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