動き
東京都心身障害者扶養年金制度について—特徴と問題点
竹村 堅次
1
Kenji Takemura
1
1昭和大学付属烏山病院
1Karasuyama Hospital, Showa University
pp.235-239
発行日 1970年3月15日
Published Date 1970/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201592
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昭和43年12月5日,美濃部東京都知事は東京都心身障害者扶養年金条例を議案として議会に提出した。提案理由は「心身障害者福祉対策の一環として,障害者の保護者が死亡しまたは廃疾の状態になった後,残された障害者に対して保護者の抱く不安を軽減し,また当該障害者の福祉を図るため年金を支給する必要がある」となっている。都議会は同月12日これを可決し,44年4月1日から実施に入った。親の死後,障害者の暮しを保障して欲しいという切実な願いはこれで叶えられたようである。
この扶養年金制度は,もちろん美濃部都政の一大支柱である心身障害者福祉対策を具体化したもので,実施まで1年半の準備期間があり,途中43年9月,都社会福祉審議会が答申したものを基礎に発足した。このような制度は都に限らず,最近地方自治体が続々実施する傾向にあり,国も43年5月から「心身障害児福祉基金」を統一的な制度にするかどうか検討をはじめたので,確かにこれからの心身障害者対策の一つの動きとして注目に値するものがある。しかし,東京都の制度は現状で見るかぎり,精神障害者を包括したのをはじめ運用面でユニークなものが期待できる点でさらに特筆してよいと思う。以下にそのあらましを説明し,若干の私見もつけ加えてみたい。
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