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研究と報告
心気傾向をもつ神経症者らに対するMagnesium α-amino-glutarate hydrobromide(PS-O42)の臨床検討
A Clinical Experience of Magnesium α-Amino-Glutarate Hydrobromide (PS-O42) for Neurotics and Others Having Hypochondriac Tendencies
吉川 武彦
1
Takehiko Kikkawa
1
1千葉大学医学部神経精神科
1Dept. of Neuropsychiat., School of Med., Chiba Univ.
pp.729-734
発行日 1969年9月15日
Published Date 1969/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201519
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I.はじめに
精神科治療における総合的接近の立場からはとくに神経症,心因反応,うつ病軽うつ状態,頭部外傷後の神経衰弱様状態などに対する薬物療法の位置づけはきわめて重要である。われわれは,日常的な臨床,とくに大学病院の外来診療を通じて総合的接近としての簡易精神療法(brief psychotherapy,imergency psychotherapy)のありかたを模索してきた。こうした治療のsettingのなかで,薬物はつねに精神療法の進展と有機的・力動的に結びついた使用がなされなければならないと考えている。
既報のように,magnesium α-amino-glutarate hydrobromide(PS-O42)は潜在する不安や浮動する不安に対して有効であり,とくにこれらの不安の代理症状ともいえる心気症状への効果が期待されている。これらの経験を基とし,精神療法的接近をつづけている各種症例のうち,その治療過程に出没する心気症状の改善を目的として本剤を使用し,その改善をみたので報告する。なお,本報告は,既報を本剤の使用に関する総論的なものとしたとき,その各論的位置にあるものである。また,前回行なえなかったplaceboの使用により,本剤の側面的評価を行なつた。
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