Japanese
English
研究と報告
TPN 12の使用経験
Clinical Experiences with "TPN 12"
島薗 安雄
1
,
風間 興基
1
,
田中 恒孝
1
,
岡 一朗
1
,
道下 忠蔵
2
Y. Shimazono
1
,
K. Kazama
1
,
T. Tanaka
1
,
I. Oka
1
,
C. Michishita
2
1金沢大学医学部神経精神医学教室
2十全病院
1Dept. of Neuropsychiat., School of Med., Kanazawa Univ.
2Juzen Hospital
pp.501-508
発行日 1966年6月15日
Published Date 1966/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201023
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.まえがき
最近10年あまりにおける向精神薬の発達はめざましく,なかでもphenothiazine誘導体からは数多くの薬剤が開発され,治療に供されている。phenothiazine誘導体のなかでも,とくにdimethylamino誘導体のなかにはすぐれた薬剤が多い。これに反してpiperidine誘導体は一般に副作用が強く,効果が比較的弱いため現在のところthioridazineのみが使われているにすぎない。
“TPN 12”すなわち3-methylsulphonyl-10-(2′-(N-methylpiperidil-2")-ethyl-1')-phenothiazineはサンド薬品株式会社で新しく開発されたpiperidine誘導体で,第1図に示すようにスルフォン側鎖をもつ,thioridazineの酸化物である。本剤の薬理学的特性についてみると,ラットの感情的排便の抑制作用はthioridazineと同程度に強く,マウスの運動活性に対する抑制すなわち自発性を抑制する作用やアンフェタミンによる機能亢進を抑制する作用はthioridazineの2〜3倍強力で,ラットのカタレプシー効果はchlorpromazineより弱くthioridazineより強力である。またマウスに対する麻酔の相乗作用やモルモットにおけるアドレナリン遮断作用もthioridazineの約2倍強力である。毒性についてみると,ラットに対するLD 50はthioridazineの約1.5倍である。このように“TPN12”は抗情動作用および運動抑制作用が強いのが特長である。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.