Japanese
English
研究と報告
分裂病の診断
Diagnose der Schizophrenie
立津 政順
1
Seijun Tatetsu
1
1熊本大学医学部精神神経科
1Psychiatrische und Neurologische Klinik der Universität Kumamoto
pp.211-218
発行日 1966年3月15日
Published Date 1966/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200976
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.まえおき
どういうものか分裂病の症状が年代とともにしだいに変わつてきたことは,注目すべき現象である。高度の衒奇症・激しい緊張病興奮・躁病様興奮・教科書的の昏迷状などが,第二次世界大戦後だんだん見られなくなつてしまつた。いいかえれば,症状が一般にかるくなりめだたなくなつてきている。そのうえ,向精神薬が使用されるようになつてからは,患者の精神像におけるあや(文)や高低や中軸部が不明瞭となつたばかりでなく,筋硬直や異常脳波などの身体症状が多くの患者に見られるようになつた。したがつて,分裂病の診断は,だんだんむずかしくなり慎重を要するようになつてきたといえる。
分裂病の診断は,多くの面からの検索結果を総合して,決められるべきであろう。しかし,以下の文中でとくに,患者が現在示す状態のなかで診断上いかなる症状がもっとも重要であるかということの論旨と,またこの問題の解決の方法とに対し,ご批判いただければ幸いである。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.