Japanese
English
展望
アルコール中毒に関する諸問題
Some Problems on Alcoholism
堀内 秀
1
S. Horiuchi
1
1国立久里浜病院アルコール中毒治療センター
1National Kurihama Hospital, Clinic for Alcoholism
pp.673-682
発行日 1965年8月15日
Published Date 1965/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200882
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I.まえがき
アルコール中毒の問題は,精神科領域では,Jellinekの言葉を借りると,「部分的な議論,しかし明らかに重要な部分的な議論」である。内因性精神病のように,現在の考えかた,疾病概念や分類法を根底からくつがえすような,新しい考えかた,新しい疾病概念の生まれる可能性は何もない。アルコール中毒は,その病因も,病理も,治療法についても,ほとんど,およそのかたちを与えられていて,それにつけ加えられるのは部分的なものにすぎない。これは,ある意味で確かなことである。
しかし,アルコール中毒の問題が,学問的に,およそ解決のついた問題であつても,社会的な問題としてのアルコール中毒が,すでに解決済であるということは,いえない。それどころか,そのような実際的な,実践の面にこそ,大きな問題が横たわつているといえるのである。
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