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研究と報告
真性てんかんの性格特徴(その5)—外来通院患者の社会適応状況について
On the Personality Change of Epilepsy (5): In Relation to the Social Adaptation of Outpatients
後藤 彰夫
1
,
遠藤 美智子
1
A. Gotō
1
,
M. Endō
1
1同愛記念病院精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, DŌAI Memorial Hospital
pp.903-909
発行日 1962年12月15日
Published Date 1962/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200506
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(1)同愛記念病院外来通院中のてんかん患者57例についてその社会的適応状況を調査することにより,てんかんの性格特徴を社会生活面から検討してみた。
(2)社会適応状況については,患者と家庭との関係,患者と社会との関連(学歴,勤務状況,信仰心など)に分けて調査した。
(3)社会適応を困難ならしめる要因は,てんかん発作よりもむしろ痴呆や性格変化にある。その性格因として,前にのべた融通性の欠如,くどさ,執拗,緩慢,粘着性,易怒爆発性のほかに,「自分本位—独断的—一方的」なる特微が重視された。
(4)この「自分本位—独断的—一方的」なる特徴は,てんかん患者の精神の流れが融通性を失い転導性に乏しくなり緩慢でくどく粘着性をおびてくる一連の過程にともなつておこつてくるてんかん性の性格変化である。これは患者の社会生活をいちじるしく障害するとともに,一方では病気に対する公正な判断を誤らせるためにepileptischer Optimismusといつた状態や極端な劣等感や他力本願的な宗教への依存などを生みやすい。
(5)てんかん患者の長期の規則的な服薬治療と日常生活の規制にあたつては,この性格特徴に十分な配慮が必要である。
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