Japanese
English
研究と報告
精神病院における赤痢の発生形式とその対策について
Dissemination of Dysentery in a Mental Hospital and Its Control
板倉 亨通
1
ITAKURA KYOTSU
1
1新潟県立精神病院悠久荘内科
1Medical Clinic Yukyuso Niigata Prefectural Hospital
pp.405-409
発行日 1961年5月15日
Published Date 1961/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200329
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まえがき
赤痢の集団発生は,正常人においては給水経路,飲食物などに赤痢菌が混入して発生することが多いが,精神病院においては,一人の保菌者が容易に集団発生の原因となり得るのであり,ここに一般住民と精神病院の赤痢対策の根本的相違がある。したがつて一般住民の赤痢菌保菌者は2%以上あつても社会問題として取りあげられないのであるが,精神病院においては一人の保菌者が潜入しても,決して無視することはできない。ここに精神病院の問題があるが,さらに大きな苦悩は,精神病院に赤痢が発生した場合,一般公衆衛生状態の不良を無視して,一般大衆,ジャーナリストはまつたく精神病院に手落ちがあるかのごとく受け取ることである。このため精神病院管理者は極秘理に処理する向があるようであるが,抜本的防疫を行わないとかえつて経費の浪費となる可能性がある。また精神病院における入院時の検便は,健保ならびに国保で請求を認めるのみならず,精神病院に入院時の検便を義務づけるべきである。なぜなら給食担当者も精神病患者も,100人に2人の健康人保菌者と常に接触する機会を持ち,いつ感染するかは時の問題であるからである。かかる環境においていかにすればもつとも経済的に,かつ合理的に伝染病管理ができるであろうか,当院に数回発生した資料を基礎にして赤痢対策についての諸問題を検討して見たい。
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