Japanese
English
研究と報告
アルコールによる入院患者の統計
The Statistics of the Inpatients suffering from the Alcoholism
野口 英彦
1
H. NOGUCHI
1
1東邦大学神経精神医学教室
1Dept. of Psychiatry, Toho University, School of Medicine
pp.689-694
発行日 1959年10月15日
Published Date 1959/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200141
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Ⅰ.諸言
諸外国ことにアメリカおよびヨーロッパ各国では昔からアルコールによる患者が多いので世人のこれに対する関心も深く,予防対策ならびに教育,治療施設についても非常に進歩している。これに反してわが国ではアルコールによる患者に対する認識が十分でなく,その救済と予防の対策にはきわめて消極的であつた。従来わが国では酩酊者の行動に概して許容的であるうえに,近年アルコール飲料の消費量は上昇し,アルコール常用者が婦人や未成年者など,戦前には少かつた層にまで浸透し,それにともなつて問題の飲酒者もその数を増している。したがつて酩酊による各種の弊害もまた当然増加しており,各方面からの早急な対策の必要性が叫ばれている。当教室では先般アルコールと関係ある犯罪者について2〜3の刑務所で精神医学的調査を実施したが,今回はアルコールによる精神病院入院患者について精神医学的調査を行ない,統計的考察を試みたので報告する。
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