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特集 障害者権利条約批准に係る国内法の整備:今後の精神科医療改革への萌芽
今後の精神科医療改革と非自発的入院医療
Reform of Psychiatric System and Involuntary Admission
吉住 昭
1
Akira YOSHIZUMI
1
1独立行政法人国立病院機構花巻病院
1National Hospital Organization Hanamaki Hospital, Hanamaki, Japan
キーワード:
Mental disability
,
Psychiatric illness
,
Involuntary admission by the prefectural governor
Keyword:
Mental disability
,
Psychiatric illness
,
Involuntary admission by the prefectural governor
pp.115-123
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102098
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はじめに
今,医療・保健・福祉の枠組みが大きく変わろうとしている。医療の分野総体では,医療費の総枠や医師不足をどうするかなどが大きな論点になっている。一方,精神科医療領域に限って見れば,2004(平成16)年にまとめられた「精神保健医療福祉の改革ビジョン」については,10か年計画の中間点を迎えた2009(平成21)年9月に,今後の精神保健医療福祉のあり方などに関する検討会報告書「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」がまとめられた。この報告書などを踏まえ,施策の具体化を目指し診療報酬の一部改定もなされた。また,2010(平成22)年5月からは「新たな地域保健医療体制の構築に向けた検討チーム」が設置され,そこでは,アウトリーチ体制の具体化など地域精神保健体制の整備・認知症と精神医療・保護者制度と入院制度について検討が進められている。
また,精神科医療改革は,単に医療という枠組みのみならず障害・福祉という枠組みとも交差し,2つの領域からさまざまな動きが進行している。以下,障害としての対策,具体的には障害者制度改革の推進体制についてふれ,疾患として,精神疾患が5疾病5事業に加えられること,その両者が精神科医療改革に及ぼす影響についてふれる。また,精神科における非自発的入院は,障害者制度改革推進会議においても重要な課題としてあるが,本特集の中で保護者制度の問題と心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)の問題は取り上げられており,筆者が研究班に所属し研究を進めてきた古くて新しい問題である措置入院について取り上げる。
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