書評
―本田 明 著―かかりつけ医のための精神症状対応ハンドブック
和田 忠志
1
1あおぞら診療所高知潮江
pp.1234
発行日 2011年12月15日
Published Date 2011/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102057
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プライマリ・ケア現場の必然から生まれた書籍
今日のわが国では,精神症状と身体症状の双方を有する患者さんの行き場がなかなか見付からないという現実がある。この現実に苦慮する臨床家は多いであろう。このことに心を痛める著者は,プライマリ・ケアを実践する医師が精神症状を有する患者さんと果敢に対決する現実を見て,「いっそうの一般医療における精神科教育の必要性を実感」したという。この動機から生まれた本書は,プライマリ・ケア現場の必然から出た本であるといえよう。
本書は,精神科の書らしからぬ精神科の書である。著者は書名に精神科という言葉をあえて使わず,「精神症状対応」という言葉を使用した。しかし,本書は,「症状対応」のみならず,より深い内容を取り扱っており,精神科領域の実用的な基礎的知識や方法を学ぶのにも適した書である。とりわけ,著者の幅広い臨床経験から,さまざまな臨床の知恵を学ぶことができる。
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