Japanese
English
資料
抑うつの認知的特徴について―大学生における認知のゆがみと遂行機能との関連から
Cognitive Characteristics Related to Depressive Tendency: Cognitive distortion and executive functions in university students
滑川 瑞穂
1
,
横田 正夫
2
Mizuho NAMEKAWA
1
,
Masao YOKOTA
2
1日本大学大学院文学研究科
2日本大学文理学部
1Graduate School of Literature and Social Sciences, Nihon University, Tokyo, Japan
2Department of Psychology, College of Humanities and Sciences, Nihon University
キーワード:
Depression
,
Cognitive distortion
,
Executive functions
Keyword:
Depression
,
Cognitive distortion
,
Executive functions
pp.1115-1122
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102028
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
問題
抑うつ的な人では,ある認知的特徴を認めやすい。この認知的特徴として,一連の否定的な思考の流れである認知のゆがみがある。近年ではこれとともに,情報処理機能の障害という側面も指摘されている。従来の研究では,両者はおのおのに検討されてきており,これらを同時に検討しようとする試みは少なかった。抑うつの適切な理解を促すためにも,今後はこの認知的な特徴を全体的にとらえていくことが必要である。
認知のゆがみは,抑うつ的な人に特有の極端に否定的,悲観的に偏った見方や考え方である。これは,Beckが提唱した抑うつスキーマ,推論の誤り,自動思考2)という一連の流れで説明されている。ネガティブなライフイベントがあった際には,この傾向はより強まり,否定的な推測が抑うつ気分を高めるというループに陥ってしまう。認知行動療法においては,認知のゆがみが介入のターゲットとされる。抑うつへ陥る過程を予防するために,この偏りを修正したり緩和したりすることが治療の目的となる。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.