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特集 震災時の避難大作戦:精神科編
災害時の精神科疾患の反応
Reactions of Mental Disorders at Disasters
木下 裕久
1
,
中根 秀之
2
,
中根 允文
3,4
Hirohisa KINOSHITA
1
,
Hideyuki NAKANE
2
,
Yoshibumi NAKANE
3,4
1長崎大学病院精神科神経科
2長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻リハビリテーション科学講座精神障害リハビリテーション学分野
3出島診療所
4長崎大学
1Department of Neuropsychiatry, Nagasaki University Hospital, Nagasaki, Japan
2Department of Psychiatric Rehabilitation Science, Unit of Rehabilitation Sciences, Medical and Dental Sciences, Nagasaki University Graduate School of Biomedical Sciences
3Dejima Shinryosho
4Nagasaki University
キーワード:
Disaster
,
Posttraumatic stress disorder
,
PTSD
,
Depression
,
Suicide rate
,
Schizophrenia
Keyword:
Disaster
,
Posttraumatic stress disorder
,
PTSD
,
Depression
,
Suicide rate
,
Schizophrenia
pp.1065-1070
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102020
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はじめに
筆者の一人(HK)は,2011年の5月連休直後より1週間,長崎大学病院の医療支援チームの一員として,福島県南相馬市での医療支援活動に参加した。地元の南相馬市健康福祉部の保健師に同行し,市内4つの避難所を巡回した。また少数ながら在宅者の訪問診療を行った。このほかに,日本精神保健福祉士協会から継続派遣された精神保健福祉士の方々と一緒に,避難所スタッフなどの面接を行った。これは,避難所スタッフや保健センター,保健行政スタッフの地震後2か月間のご苦労をおもんばかり,ねぎらい,メンタル不調の早期対応を図る目的のものであった。避難所では,当初急性ストレス反応様の症状のある方や,不眠,不安感の増大した方がみられたようであったが,震災後2か月が過ぎたこともあり,避難している人々は徐々に落ち着きを取り戻しつつあった。しかし,精神科医である筆者には,避難所で過ごす多くの人々に隠れるようにひっそりと過ごしておられる精神疾患を抱える人の姿が気になった。
本稿では,これまでの本邦および海外での自然災害の際に,それまで精神科医療を受けていた人々に起こった変化について,文献的考察を試み,また今回の被災地での経験を通して,災害時の医療従事者は,被災者のために何を準備し,どう行動すべきかについて論じてみることにする。
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