書評
―米国睡眠医学会 著,日本睡眠学会診断分類委員会 訳,日本睡眠学会 発行,医学書院 販売―睡眠障害国際分類(第2版)―診断とコードの手引
陳 和夫
1
1京都大学大学院呼吸管理睡眠制御学
pp.614
発行日 2011年6月15日
Published Date 2011/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101901
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睡眠医療者の共通認識を培うために
睡眠学を学ぶに当たり,当然のことながら原著を読み,理解することが基本であるが,数多くの情報量を取得しなければならない現在,重要な知識を迅速にかつ正確に学ぶことも必須であり,適切な翻訳本の必要性にもつながる。また,睡眠学の領域はその学会員の構成をみてもわかるように,医師,検査技師,看護師などの睡眠障害に携わる医療者が多く存在する。検査,診断,治療にあたって,共通認識をもって対応することが他の領域にまして必要であり,さらに,新しい診断基準,概念も数多くみられる領域であることから,そのキャッチアップが重要である。実際,京都大学医学部附属病院の検査技師の方々も本書を大変喜び,随時参照されている。
筆者の専門は呼吸器内科領域であり,サブスペシャリティとして睡眠学,その中でも睡眠呼吸障害を専門としている。閉塞性睡眠時無呼吸での過度の日中の眠気の鑑別には,睡眠関連呼吸障害によらない過眠を見分けることが重要であるが,そのためには睡眠学の中の専門領域からさらに関連する領域へとその知識を増やす必要があり,本書はこの点でも筆者にとっても大変ありがたい書籍になっている。また,睡眠関連呼吸障害群を担当されている原著者はBradley D,White D,Young T先生など,この領域で多くのことを発見し,進展に貢献してきた先生方であり,まさに,前書きにICSD-2の目的として書かれている「現在知られている睡眠障害と覚醒障害のすべてについて,科学的および臨床的論拠に基づいて記述すること」が実感できる。
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