巻頭言
働く人への精神医学的援助を
大森 健一
1
1滝澤病院
pp.940-941
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101287
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最近の精神科外来では,企業で働く人々の受診の機会が増えていることを実感する。これを裏づける1つの資料として,社会経済生産性本部の行っている「メンタルヘルスの取り組み」に関するアンケート調査がある。全国の上場企業218社の2008年8月の調査結果の発表によれば,最近3年間における社員の心の病は61.5%の企業が「増加傾向」と回答しており,2002年調査の48.9%,2004年調査の58.2%の「増加傾向」の回答と比べると,一貫して増えていたという。一方で「横ばい」「減少傾向」と答えた企業の割合はほとんど変化せず,「わからない」と回答した企業の割合は20.9,13.4,7.3%と急速に減少している。
このような働く人々に心を病む人が増加しつつある状況は,直接企業のメンタルヘルスの活動に関与している人々には共通した,強い実感であろう。小生もこの20年,上場企業数社と関係して,社員の心の病の治療,カウンセリングに携わり,産業医と連携して仕事を続けてきたが,年々働く人々が精神的不調に陥ることが多くなり,お相手する人数も増える一方で追いまくられているのが実情である。
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